NHN PlayArtの楽しさを創造する“都心のオアシス”を表現したオフィスと働き方

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NHN PlayArt 株式会社
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「LINE:ディズニー ツムツム」などのスマートフォンゲームの開発・運営、インターネットポータルサイト「ハンゲーム」の運営やPCオンラインゲームの開発、無料のスマートコミックサービス「comico」の電子コミック事業を軸に、世界に向けて様々なエンタテインメントサービスを展開している『NHN PlayArt株式会社』。
2013年4月にNHN Japan(現:LINE株式会社)が会社分割を行い、ゲーム開発会社として誕生した同社。同年10月にサービスを開始したWebコミックサービス「comico」は2015年5月に1,000万ダウンロードを突破し、今や日本最大級のアプリとしてその地位を確立。また、同社開発のスマートフォン向けカジュアルパズルゲーム「LINE:ディズニー ツムツム」の人気と持続的な成長により、NHN PlayArt は“グローバル化を目指して広く世界に向けて私たちのサービスを提供する”という事業方針に沿った歩みを着実に進め、グローバル企業として今なおその勢いを止めることなく急速に成長を続けている。
そんな同社は更なる業容拡大と業務効率化を図るため、2015年の年明けと共に虎ノ門ヒルズへと移転し、新たな歴史を歩み始めた。「心地よく楽しめる場(Play)」を「創り出す(Art)」というコーポレートアイデンティティが見事に体現されたそのオフィス環境について、総務チームマネージャーの今井正宣氏とCreative Center Culture Experience Teamの平田真理子氏にお話を伺った。

なぜオフィス環境へ投資したのか

韓国NHN Entertainmentの100%子会社であるNHN PlayArtは、NHNグループの中核企業として日本を拠点に事業展開を行い、「楽しさ(Play)」を「創造(Art)」する企業として高クオリティのコンテンツやサービスを提供している。そんな同社は2015年1月5日に渋谷ヒカリエから虎ノ門ヒルズへと移転を遂げ、更なる飛躍へ向けた舞台を見事に整えた。約1年3ヶ月という期間を費やす大規模なプロジェクトとなった今回のオフィス移転。このタイミングで同社が“移転”という大きな環境投資を行った理由について伺った。

今井氏:一番の大きな理由は、やはり2013年の4月にNHN PlayArtとLINEが会社分割をしたというところにありました。元々NHN Japanという一つの会社の中で同じ文化を歩んできたので、会社分割についても全く問題はなかったのですが、“独自の文化”をきちっと作りたいということになると、やはりどうしても同じビル内にいる訳にはいかないということもあり、そこから移転の話が出てきました。その他にも、オフィスに求める災害対応という点において、虎ノ門ヒルズがかなり高いレベルにあったということも今回のオフィス移転に繋がるきっかけになりました。

実際に構想を練り始めたのは2013年の6月頃からでした。新しいオフィスをどこにするかということについては、会社分割後すぐに取締役以上のレベルでは話し合われていたようですが、実際に移転に向けて動き始めたのは2013年の9月頃からでした。
まず物件を探す段階で、我が社の中では基本的に「山手線沿線」という条件がありました。その条件の中で探してはいたのですが、これだけの規模になると面積もそれ相応に必要になってくるため、全てを満たす条件の物件というのがなかなか見つかりませんでした。そんなときに、偶然にも今の虎ノ門ヒルズが出来上がるタイミングと、渋谷ヒカリエを出なくてはいけないタイミングが一致していたので、問題無くこちらに移ったという流れです。

そして、今回のオフィスは「PARK MUSEUM」をコンセプトとしているのですが、これはご覧の通り、虎ノ門という場所自体がオフィス・ビル街のど真ん中にあるということで、そういった点で「ニューヨーク」というイメージが一番最初に描いた部分ではありました。また、ニューヨークにはマンハッタンの中央に「セントラル・パーク」があると思うのですが、その両方のイメージを併せ持って考えていった結果、この「PARK MUSEUM」という今回のコンセプトへと繋がりました。
我が社の基本的な「PlayArt」という部分では、日常の中のちょっとした「楽しさ(Play)」を発見しながら、新たなものを「創造(Art)」するという文化があるので、オフィス環境についてもそういったことができる環境を用意していくことに重きを置いて考えています。また、我が社には“カルチャーエクスペリエンス”略してCXという、会社のカルチャーを作る部署があるのですが、今回のコンセプトは代表の考え方や経営のビジョンを確認しながら、このCXチームの中で話し合いを行って決めていきました。単なるワークプレイスという考えでオフィスを作っていくのではなく、それをきっかけに“何かが新しく生まれていく場所になるように”という考えのもと、この移転プロジェクトを進行しました。

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細部にまで広がるこだわりの数々

「Play=楽しさ=Park」と「Art=創造=Museum」が融合した“都心のオアシス”として誕生した同社のオフィスコンセプトは「PARK MUSEUM」。このコンセプトを生み出したプロジェクトチームである“CX”はカルチャーエクスペリエンスの略で、人事・総務・デザイン・ITなど、様々な部署から選出された社員で構成されており、会社のカルチャーを作る部署として大きな役割を担っている。今回、このCXチームが主体となって作り上げた新たなオフィスには、コンセプトを見事に体現するような、大小様々なこだわりがこれでもかとばかりに凝縮されていた。そんな同社ならではの“こだわり”について話を伺った。

今井氏:家具に関してはかなりと言っていい程こだわっていると思います。そもそも個人の机に至っては物凄く重要な場所だという認識があるので、サイズはもちろん、手に触れる感覚にまでこだわりました。天然木を使った机というのは、大抵壊れたり傷ついたりしてしまうことを恐れて皆さんあまり使わないと思うのですが、我が社の執務机は完全な天然木をコーティングした特注の机になっています。木の素材と言いますか、やはり「PARK MUSEUM」というコンセプト通り、“公園の中にあるもの”を考えて作り上げたので、全体的に見るものも使う物も“五感”に響くような非常に温かみを感じる作りになっていると思います。香りに至るまでそれぞれのエリアに合ったイメージのものになっていたり、会議室についても、よく見ていただくとそれぞれの部屋ごとに時計のデザインが異なっていたりするのですが、そういう些細な部分の演出にも凄くこだわっていますね。
またその会議室に関しては、移転前の実際の使用状況や利用頻度についてのデータを全てかき集め、調査や分析を細かく行った上で、我が社の「一番理想的な形」として今のような形式になっています。何が適正なのかというのは非常に難しいところではあるのですが、移転前はNHN PlayArtとLINEという2社の来客者を捌き切れず、エントランスから溢れ出てしまっていたり、外のカフェに出て行ってしまったりということがよく起こっていたんです。そういった部分も解消しなくてはなりませんでしたし、来客者が気を遣って話さなくてはいけない環境というのはやはり問題だと思いますので、まずは来客者用の会議室の状況を完全に把握するということが課題としてありました。これに加え、我が社では非常に密に会議を行う文化があるため、社員用の会議室もそれなりに用意しておかなくてはいけないという課題もありました。他社の関係者の皆様もやはり“会議室の重要性”というのは口々に仰っていて、オフィスが完成した後に増やさなければいけなくなるケースが多いという話も聞いていましたので、会議室の数についてはかなり真剣に考えましたね。やはり空き状況を見て会議をしなくてはいけなかったり、話し合いたい時に話せないというのはストレスも感じますし、スピード感に対応するようなことがオフィスのせいで何もできないというのは、こういうIT業界にいる以上、尚更良くないことだと思いますしね。

また、ここはテクノロジーも詰め込まれているオフィスになっています。通常ですと会社にいないと仕事ができないという環境があると思うのですが、我が社はグローバルな会社ということもあり、どこにいても仕事ができるようなテクノロジーをオフィスに詰め込もうということで設計を行い、基幹システムもかなり真剣に構成しました。なので、オフィスに何かあった場合でも何の問題もなく家で仕事ができるようになっていますし、通信手段としての連絡方法もかなり特殊な携帯の連絡網になっています。というのも、以前はそれぞれの社員が持つ電話が、個人の携帯・会社の携帯・PHSというように分散されていたんです。そういった部分も移転と同時に全て一本にまとめようということで、通信会社各社含めてご協力いただき、新たなシステムの構築を行いました。これにより、日頃のストレスも減りましたし、受付も凄くスムーズになったようです。以前は呼び出してもどこにいるかが分からないと繋がらないということがあったのですが、今は内線番号のまま携帯に繋がるシステムになっています。また、この携帯で会議にも参加ができる状態になっているだけでなく、海外にも繋がるように設定されているので、関係会社とのやり取りも非常に楽に行えるようになりました。

平田氏:あとは、オフィスのレイアウトに変化が多いので、そういった変化にすぐに対応できるようになっているという点と、それに伴う“平等性”という点には凄くこだわっています。我が社では席替えや部署移動なども多いので、そうなると「ここには座りたくない」「端が良い」というような意見がどうしても出てきてしまうと思ったんです。なので、執務エリアに関しては、コピー機などの業務スペース、自販機などのサービススペース、コミュニケーションスペース全てを中央に配置し、どこの席に座っても不平等性が無く、均等性を保てるレイアウトになるようしっかりと考えて作りました。

今井氏:セミナールームに関しても、株式会社映像システムさんに入っていただき、すぐにプレゼンテーションができるシステムに変更したので、凄く便利になりました。移転前はプロジェクターの準備をすること自体が結構大変でしたし、コードもたくさん出ていたのでごちゃごちゃしていましたが、今では非常に使いやすくなった上に、見た目も本当に美しくなりましたね。また、我が社では新しいコンテンツが出たりすると記者発表やイベントを行ったりもしますので、そういったものにも柔軟に対応できるシステムをカフェスペース内にも入れていただきました。
このように、業務部分に至っては全体的にストレスを感じないような作りになるようこだわってはいますが、それらをどうやって利用していくかという点については、こちらで抽出させていただいたものを吟味して設定をさせていただいているという感じです。

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オフィス環境変革後の変化や反響

今回の移転に伴い、同社ではCXチームのメンバーが各担当部署の社員から意見を吸い上げ、それらを集約することで見事に誰もが納得する形のオフィスを作り上げた。そんな同社のオフィスには移転当初から社内見学を希望するオファーが多く、未だにその声は続いているという点からも、周囲からの注目度の高さを伺うことができる。そんな話題性に富んだ同社のオフィス環境に対して、社外からは具体的にどのような反響があったのだろうか。また、移転をしたことによって社員の働き方にはどのような変化が表れたのか、併せて話を伺った。

今井氏:嬉しいことに、社外からは「いいですね!」「こういう使い方があるんですね!」という反応を多くいただいています。こういった仕事をしていると、今後東京にオフィスを作る予定のある海外の法人の方などが遊びに来られたりもするのですが、そういった方々からすると“デザイン”というのは企業の文化を表現すれば良いという考えで、それ程大変なことではないと思っている方が意外と多いんですね。元々それまでの経験の中で皆さん様々なオフィスを作ってこられているというのもあるのですが、そのデザイン以外の“機能”であったり、“経営ビジョンに合わせていく”というところに対しての作り込み方については、弊社のオフィスを見て「凄い」と言ってくださることが多いです。

弊社もそうですが、こういうIT業界というのは常に変動が多く、突然会社が分割したり、逆に今度は合併したりという話は毎年のようにしょっちゅう起こり得ることなんですね。2013年の4月にNHN Japan(現:LINE)から分割した時も問題になったのですが、分割した後のオフィス内は1社のコーポレートカラーだけになっていたんです。その時の反省を活かし、今のオフィスはコーポレートカラーをそれほど濃くは出さない作り方をしたので、今後もし会社分割をすることになったとしても、それに備えて柔軟に対応できるようになっています。やはり他の会社と一緒に仕事をすることになった時に、「同居ができない」という話や、「オフィスを改装しなくてはいけない」という話はかなりよく聞きますので、将来的なことを考えても非常に良い作り方ができたと思っています。

また、社員の働き方の変化としては、場所が虎ノ門という関係もあってか、皆さん真面目になったなという感じがしますね(笑)。昨日もちょっと用事があって渋谷ヒカリエに行っていたのですが、「渋谷ってやっぱり若い街だな」って思いましたからね。商業施設もたくさんありますし、朝のざわつき感もお昼の賑わいも、どこか他の街とは違うんですよね。そういう意味ではプライベートは圧倒的に渋谷の方が楽しいと思うのですが、一方で虎ノ門は非常に落ち着いている街なので、こちらに来てから“仕事をする”ということに対する意識が今まで以上にはっきりしたというのは凄く感じています。もちろん“楽しく”という会社のコンセプトは変わらないのですが、虎ノ門という土地がそうさせているのかなというイメージはあるので、環境の変化というのは非常に大きいなという感じはしています。移転から約8ヶ月が経過した現在では、皆さん大分落ち着いてきているように思います。

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今後取り組みたいオフィス環境づくり

同社は2015年8月21日付で会社分割に関するお知らせを発表し、2015年10月1日を効力発生日としてスマートフォンゲーム事業を新設分割、PCオンラインゲーム事業を吸収分割によりそれぞれ分離し、事業持株会社によるグループ経営に移行することとなった。この会社分割により、組織を軽量化し意思決定の迅速化を図ることで事業展開のスピードを向上させ、各事業の成長と成果の最大化を目指すという。今後は現在のオフィスに3社が集い、変動の多いIT業界において互いに切磋琢磨しながら事業展開を行う訳だが、そんな新たな環境の変化に向けて、今後どのようなオフィスづくりを考えているのだろうか。その展望について伺った。

今井氏:働くスタッフがストレスを感じないオフィスというのがやはり一番重要だと思っているので、今回の移転においてもその点についてはしっかりと考えて作りましたが、今後も慎重に取り組んでいきたいところではありますね。確かにデザインというのは一つ重要な問題ではあると思うのですが、デザインだけに特化して作ってきたわけではなく、毎日働きに来ていてより自発的に仕事ができて、本当に生産性を伴う場所でなければならないという考えのもとでオフィスを作ってきました。会社側からしてみると、オフィスという場所は大きな投資をしている場所ではあるので、それが爆発的に意味のあるものになればいいなと思っています。
また、今後のオフィスの作り方一つ取ってみても、新しく入社して来る社員の方々や、新卒の方々に「こういうオフィスで働いてみたい」と思ってもらうことも重要な作り方であると思いますので、「オフィスに来たくない」と思ってしまうような形は絶対に作ってはいけないなと思いますね。社員がそう思わないというのがまずは最低限のルールだと思うので、その点については今後もしっかりと社員の話を聞きながら、CXや総務、その他経営陣とうまく考えてやっていかなくてはいけないところだと思っています。

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Pick Up  “ここが、NHN PlayArtらしさ”

■セカンドホームパーティー
社員の家族や友人など、身近な方々をオフィスに招待するイベントとして過去2回に渡って行われた「セカンドホームパーティー」。こだわりを持って作ったオフィスが社員の自慢の一つになればという想いのもと、社員のモチベーションアップを狙って企画されたこのイベント。記念すべき第一回目は移転前の2014年12月20日と21日の土日2日間に渡って行われたそうだが、1日30組(1組4人まで可)限定で事前に社内募集をかけたところ、なんとその3倍以上の応募数があったため一日で募集を締め切り、先着順で招待をしたのだとか。
イベント当日はオフィスをくまなく見てもらえるよう、スタンプラリーや軽食なども用意。自由度が高く、手作り感溢れるNHN PlayArtらしい温かいイベントになったようで、両日大盛況だったそうだ。また、イベント後には「家族の理解が深まった」という声や、「サービスを知ってもらったことで“凄い会社に勤めているんだね”と友人に言ってもらえて嬉しかった」という声など、社員からも様々な嬉しい反響があったのだとか。
今後も引き続きこのイベントを行っていくそうだが、同じ内容をずっと繰り返していくのではなく、“社員のため”にという軸はぶらさずに形を変えながら継続して行っていく予定とのこと。
周囲をうまく巻き込み、企業としての“信頼”や“安心感”を得ることで、社員のやる気にも自然と繋げることができている、非常に素晴らしいイベントである。

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Creator’s Eye  シービーアールイー株式会社 / シニアプロジェクトマネージャー・オキュパイアーサービス部

まず始めに、NHN PlayArt様からは「PlayArtという社名のとおり“楽しさを創造する”をメインコンセプトに掲げる会社ですから、人こそが会社の財産と考えています。その最も大切な財産である社員が、家と同じか、それ以上長く滞在する会社は、社員のセカンドホームとして働きやすく、また居心地の良い空間であることが必要だと考えています」というご説明をいただきました。そして、そのためには必要なコストは惜しまないが、ただお金をかけるのではなくコストバランスを考えること、また、プロジェクトを進めていく上ではストーリーを大切にし、“一つひとつのデザインが意味のある物=社員のためになるもの”にして欲しいと言われました。
中でも執務室に関しては、「従業員が一番長く時間を過ごす場所なので、第一に考えて設計してほしい」というご要望をいただいておりましたので、執務デスクを従来の1400㎜から1600㎜に広げてゆとりを持たせたり、デスク間も社員が動きやすいレイアウトにし、パーティションの高さも仕事に集中しながら社員とコミュニケーションが取れる高さにするなど、従業員の働きやすさに則したストーリーを考えながらデザインしました。
また、「執務室の近くに、疲れた体や神経を癒すことのできる空間も併せて作って欲しい」とのご要望もありました。これはNYのセントラルパークのように、街中=活気のある仕事場の近くにある癒しの公園=空間のようなものです。実は、今回のプロジェクトのコンセプトである「PARK MUSEUM」という言葉は、この考えの中から生まれました。「PARK MUSEUM」という言葉には、人々を癒すことのできる森(Park)の中でありながら、楽しさ(Play)を創造する(Art)ことを喚起させるようなエレメントが混在するような空間を作りたいという意味が込められています。

これらのご要望に対し、我々はまず、会社の社風や働き方等、デザインの基本となる点を理解することが重要であると考えました。そのために、すでにそのコンセプトで作られている韓国本社(NHN Entertainment)を見に行くのが良いだろうということになり、韓国本社にNHN PlayArt様およびデザイナーと共に見学に行きました。韓国本社では、最初にお伺いした“人が財産である”というコンセプトを具現化したオフィスのデザインが為されていると改めて実感しました。例えば、一人ひとりの広いデスク、広いオフィスでも圧迫感を感じないスケルトン天井、目に優しい間接照明などがその一部として挙げられます。また、床やデスクには木材が使われ、その素材感が心を落ち着かせる効果があることも肌で感じました。
韓国から帰ってからは、見学ツアーの成果も含め、従業員の皆様の働きやすさを一番に考えたレイアウトプランになるよう何度となく修正を繰り返し、納得のいくまで詳細な部分も一つひとつ確認しながら進めていきました。その過程ではもちろん、従業員の方がどんな使い方をするかということや、どんなものを導入したら働きやすくて過ごしやすい環境になるかということなど、ストーリーを考えながらデザインを進めるようにしました。カフェなども全体が見渡せる模型を何度も作り変えながら最終形に近づけていきましたし、グラフィックサイン一つとっても、ありきたりのサインではなく、フォントから文字の大きさに至るまでストーリーを考え、何度もやり直しを行いました。そして全てサンプルを作り、実際に現場ではどんな見え方になるのか、この位置で良いのか等も含めて確認しました。このような試行錯誤を繰り返しながら、成功に近づいて行ったのだと思います。

そして、今回一番のキーとなったワークステーションの家具選定について、執務デスクの大きさは1600㎜と決まっていましたが、テーブル天板の仕様を突板仕上げにするかメラミンにするか、またデスク間のパーティションはマグネットを使用するため、カスタマイズするのか既製品にするのか等が決まっていなかったので、メーカーにモックアップを何個か作っていただき、現地(虎ノ門ヒルズ)で確認しました。また、執務室内の廊下とデスク間には、遮音のために布張りのパーティションを置いたのですが、これについてはサンプルを制作し、現場に置いて大きさやクオリティなどを確認してからの発注となりました。他の会議室や受付回り、カフェ等の家具に関しては、デザイナーからだけではなくNHN PlayArt様からも色々なご提案をいただき、写真だけではなくショールームや、サンプルで実際に触れたり座ってもらったりしながら選んでいただきました。そして、カフェや執務室に家具を入れたオフィス全体の模型を作り、全体のデザインにマッチするかどうかも確認しました。タイミング的にはレイアウト図が決まってから家具の選定を始めたのですが、一つひとつの部屋のデザインを総合的に確認しながら決めていったため、発注期限ギリギリになってしまったものもかなりありました。

プロジェクト当初は、デザインコンセプトである「PARK MUSEUM」という言葉にどのようなデザインを当てはめていったら良いかプロジェクトチームの中で意見が分かれ、皆が納得する方向に進み出すまでには時間がかかりました。その後もデザインを進めていく上で様々なアイデアが出てきたのですが、決められたコストとスケジュール内で納めなくてはならないため、その調整には苦労しました。また、着工してからの仕様変更も日々行われたため、特にスケジュールの点では苦労が多かったように思います。
しかし、納得のいくものを創るため、NHN PlayArt様やデザイナー、およびビル側の施工者をはじめとするプロジェクトチーム全員が一丸となり目標に向かって進んでいたので、最後にはクライアント様のご要望するものを全て取り入れながらも、決められたスケジュールおよびコスト内に収めることができたと自負しています。
竣工直後には、社員のご家族や大事な方を呼んで「セカンドホームパーティ」を開かれたとのご報告もありました。自分の大切な人々に自慢できるオフィスを作ることで、社員のモチベーションアップに繋げることができたとお聞きしています。最初にお伺いした“会社の財産である社員の皆様に喜んでいただけるオフィス”を作れたことが、今回NHN PlayArt様に最も喜んでいただけたことだと感じています。

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