アンダーワークスの見えない価値を可視化させたオフィスと働き方

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アンダーワークス株式会社
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アンダーワークス株式会社

業務の多くがクライアントの“黒子”であり、常に“縁の下の力持ち”的な存在でありたいという考えが社名の由来となっている 『アンダーワークス株式会社』。デジタルマーケティング分野のコンサルティングファームであり、最後のITフロンティアと呼ばれるマーケティング分野に「変革」をもたらすべく、新しい価値の提供を行っている。バリュー・ドリブン(価値主導)に従い、“ワークスタイルの変革”を裏ミッションとして掲げる同社。プロフェッショナルが活躍しやすい環境作りへの取り組みとは一体どのようなものなのだろうか。代表取締役社長の田島学氏よりお話を伺った。

なぜオフィス環境に投資したのか

コンサルティングファームでは、プロフェッショナルとしての価値を提供する“人”こそが財産であるという。その“人”がいかに働きやすい環境で仕事をするかという点において、オフィス環境作りには徹底したこだわりがある同社。オフィス環境に投資しようとした直接的なきっかけはどのようなものだったのだろうか。

田島CEO: 細かいところはデザイナーに委ねましたが、コンセプトは『航空会社のラウンジと某大手コーヒーチェーン店を足した感じ』にしてほしいとお願いしました。数年前から福岡に出張しているのですが、空港のラウンジで仕事をするっていうのがすごく捗るんですよね。あの環境が「仕事をして下さい」っていう環境かといえば、雑誌を読んでる人もいればビールを飲んでる人もいる…という感じじゃないですか。でもすごく集中できる環境じゃないかと思うんです。オフィスオフィスしてないところもあるんでしょうね、リラックスした雰囲気で心地いい感じ。匂いとか音楽とかもよく考えられてるじゃないですか。それが仕事の生産性に繋がるのではないかと思ったんです。
それから、めっきり聞かなくなった『ノマド』という言葉ですが、カフェで仕事をしたりすることに同じような側面があるのかなと。すごく心地いい環境で気分よく仕事をするというのが、実は成果という意味では効くのかな、と。
創業時はレンタルオフィスとか、マンションの一室から始まったりしていて、なかなかオフィス作りにはお金もかかるしできなかったけれど、僕自身デザイナーズマンションが好きでずっと住んできて、「いつか自分のオフィスもこういう風にしたい」という思いがあって、ようやくここ数年でそういうことに取り組めるようになったんです。
弊社の掲げる大事な三つの価値観の一つに『前向き』という言葉があります。コンサルティングやITのプロジェクトってお恥ずかしながら世の中全体で失敗と呼ばれるものが多く、“火を噴く”とも言いますが大変な状況になることが多いんです。そういう側面がある中でも成果を出せる人というのは常に前向きな意識があって、そのようにできることは大切ではないかというところからきています。簡単に言うと毎日気分よく仕事ができれば、それなりに成果が出るんじゃないかという法則があるのではないかと思っています。

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オフィス環境変革後の変化や反響

同社ではプロフェッショナルとして常に高いパフォーマンスを維持するため、オフィス環境変革の一環として「自由な働き方」も積極的に取り入れている。これこそが同社が裏ミッションに掲げる“ワークスタイルの変革”であるが、日本企業においてはまだまだ馴染みの薄い前衛的な試みだといえる。いついかなる時も最高のパフォーマンスができるよう工夫された働き方とは、具体的にどのようなものなのだろうか。
また、その「自由な働き方」の導入により、具体的にどういった変化や反響があったのだろうか。

田島CEO: 年に一回が目標ですが、リゾートオフィスという名のもとに、去年は避暑地で11時から16時を勤務時間のコアタイムにして、朝早置きしてプールに入ったり散歩したりヨガをしたりしながら仕事をしようということをやったんです。庭付きの戸建てのヴィラみたいなところをオフィスとして借り切って、庭でカレーを作ったりしながら3日間集中して仕事をしました。社員旅行じゃないというところがポイントですね。
また、リモートオフィスというのもやっていて、各メンバーの生産性が高まるのであればオフィスに出社する以外、週一回は場所を変えて仕事をしてもよいとしています。オフィスがここだとしたらリモートにあるオフィスを自分で作って下さい、と。そういう意味ではすごく自由です。リモートオフィスもトライアルとしてここ1,2年やっていて、今は週一回を目安としていますが、本来は出社義務自体がなくてもいいというのが理想だなと思っています。でもいきなりそれでは新しく入ってきた人がびっくりしてしまうと思うので、今は週一回が目安ですが週二回でも誰も文句は言わないと思います。結果として子育てをするとか、親の介護をするとか、自分が病気・けがをした時にでも今までと同じように高いパフォーマンスを出せるというのが一番望ましいのではないかと思います。
加えて、働き方という意味だとクラウドのツールをよく使っています。社内メールは一切使わず、社員同士はこれでやりとりをするのが普通になっています。社内メールがなくなってから業務効率が10~20%ほど上がったと思います。ここをずっと見ていると、国内外どこにいてもだいたい何が起こっているかがわかります。予定表も共通しているので、リモートならリモート、となっていますが、許可制ではないので各人の裁量に基づいてやっています。スマートシート(エクセルのクラウド版)も共有していて、こちらもどこにいてもスマホで開いて見られるので、効率よく無駄がないんです。

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“働き方”を変えたきっかけとは

現在も議論を重ねながら自分たちなりの“働き方”を創造している同社。そこに至る経緯とは何だったのだろうか。

田島CEO: お恥ずかしながら2010年くらいに取材をしていただくと、マンションの一室で朝まで仕事をせざるを得ない時もありました。創業して3,4年はそういう状態でした。そんな中で働き方を変えるきっかけとして一番大きかったのは、2011年の震災と、同じタイミングで子供を授かったということです。共働きということもあり、物理的に自分が今までやってきたやり方が通用しないという状況に直面しました。震災のようなものを目の前にして、自分たちではどうにもならないことがいつ起きてもおかしくないんだと気付いたんです。それまでもいろんな思いや構想はありましたが、実際に手を動かしたのはこの出来事がきっかけとなりました。

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今後取り組みたいオフィス環境づくり

現在のオフィスに移転をし、環境が整ったのは2013年3月。
約二年をこのオフィスで過ごした今、既に見えている今後取り組みたいオフィス環境づくりとその理想型とは。

田島CEO: 本当はもっとプライベートな空間も作りたいなと思っています。今はわりと席もフリーアドレスでオープンな感じなんですが、集中して誰にも邪魔されたくない時って多々ありますよね。オープンで非ビジネスの領域と、ものすごくプライベートでフォーカスする空間を別々に作りたいなと思っています。
中長期的にはいろいろやりたいことはあって、フィットネスジムやプールがあるというのが一つの理想です。会社に詰める、というイメージがありますが、僕らの価値観はどこで働いていてもよくて、オフィスに来ている人というのは来たくて来てるんでしょ、というところなので、プライベートとビジネスは共存し得るのではないかと思っています。それから、食事を会社が社員に対してどう提供するかというのが重要だと思っていて、昔は福利厚生というイメージでしたが、最近はライフスタイルの一環として提供できることが重要ではないかと思っています。

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Pick Up  “ここが、アンダーワークスらしさ”

■移動は原則タクシーで
時間効率を何よりも最優先に考え、タクシーは乗り放題。また、出張の際、新幹線はグリーン車、飛行機はプレミアムクラスを利用することが可能。移動中に疲弊してしまい、肝心の仕事に差し支えることを避けるためだそうだ。この制度をあえて福利厚生にせず、新しい価値として自分たちが率先して取り組むことに意味があるという。

■アナログの交流会も
ミールスペースにバースデーボードがあり、毎月その月に誕生日を迎える社員の誕生日会を行っている。以前は誕生日毎に行っていたが、人員が増えたため現在は月に一度になったのだとか。その他「肉の会」という会食イベントも行っており、六本木という土地柄、「美味しいものをみんなで食べよう」という田島CEOならではの食育に対する取り組みと言える。社内コミュニケーションの活性化にも繫がり、評判は上々だそう。

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Creator’s Eye  株式会社フロンティアコンサルティング / 黒澤 奈月 氏

黒澤氏:案件を頂いた当初、細長い特徴的な躯体を見たときは、内心レイアウトが難しそうだな…と思いました。ですが、それと同時にその特徴を活かした提案が出来たらと考えている自分もいました。実際ヒアリングに伺った際は、お客様が直接「このように空間を使いたい」と具体的にお話ししてくださったので、案件依頼当初よりお客様のご要望がすごく想像しやすかったですね。打合せの中で「カフェっぽい空間で見通せるオフィス」というキーワードを頂けたのもレイアウトやデザインを考えるうえで、大変大きなヒントになりました。
デザインについては、某航空会社のラウンジの様にしたいと言われていたので、実際に某航空会社のサイトや写真を収集しました。それ以外にも、雰囲気が似ているラウンジの写真をたくさん集めて社内で担当営業と共にデザインについて検討を行いました。当然、打合せに持参してお客様の意見も伺い、お互いのイメージの相違がないか確認しました。お客様の温度感やニュアンスを感じ取るうえで、直接お話を伺うことの大切さを改めて感じましたね。
そのような度重なる打合せから生まれたのが、現在のレイアウトとデザインです。躯体中央の通路は、用途に応じた3つのスペースを分けると同時に、横に長い特徴的な躯体を活かし、奥行を感じさせるアンダーワークス様の顔となるような通路に。その脇には、特注の本棚を配置し、より一層印象的な場所となるように計画しました。この本棚は早い段階から提案していたもので、実現できたことがとても嬉しかったです。その他のスペースに関しては、お客様のこだわりで選定された家具が並び、私達のデザインとお客様とがコラボレーションして完成した素敵なオフィスを作ることが出来ました。
このようなオフィスが完成したのも、毎回の打合せに協力的に意見や要望を述べて下さったクライアント様のおかげだと思っています。終始和やかな空気の中、とても楽しくお客様と一緒になって進めることが出来た案件でした。

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