バクスターの“インクルージョン&ダイバーシティ”の舞台となるオフィスと働き方

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バクスター株式会社
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腎不全、血友病、輸液、麻酔、疼痛管理の領域に特化した世界的なヘルスケアカンパニーとして、米国イリノイ州ディアフィールドに本社を置くバクスターインターナショナルインク。

その日本法人として、医薬品、医療機器、バイオサイエンスを中心とした医療サービスを提供し続けている『バクスター株式会社』。1969年に大阪市に設立した同社は、一人でも多くのかけがえのない命を守るために挑戦と改良を続け、その歴史の中で常に医療技術の革新をもたらすリーディングカンパニーとして時代を牽引してきた。
また、同社ではかねてからインクルージョン&ダイバーシティの推進に注力し、多様な意見や考え方、経験などが尊重・受容される企業文化を目指すべく、長年に渡り様々な活動を行っている。その成果として、「2012 J-Winダイバーシティ・アワード」ではユニーク賞を受賞、2015年には経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」に選出されるなど、その継続した取り組みが評価され、一企業としても“イノベータ―”として常に他の一歩先を行きながら、今なおバクスター独自の新しいワークスタイルを追求し続けている。

そんな同社は2014年9月に東京・晴海トリトン本社の機能の一部を虎ノ門ヒルズへと移転。今回は、今後バクスターの新たな歴史とワークスタイルを生み出していく舞台となるそのオフィス環境について、代表取締役 社長の土本匡明氏と人事総務本部 総務部マネジャーの藤田陽子氏にお話を伺った。

なぜオフィス環境へ投資したのか

1969年に大阪市に設立した同社は、1980年に東京・新宿に本社を移転。その後市ヶ谷を経て、2005年に現在の晴海トリトンオフィスへと活動の拠点を移した。そして2014年9月、更にその機能の一部を虎ノ門ヒルズへと移転させた訳だが、同社はこの東京本社の他にも現在全国18ヶ所に事業所を設置しており、加えて東京のセントラルディストリビューションセンターを中心に7つの主要都市に流通センターを設けることで、迅速な製品流通を可能にしている。この46年という歴史の中で、一人でも多くの大切な生命を守るために常に世界に先駆けた画期的な製品やサービスを導入し続けてきた同社が、今回大規模な「移転」という環境投資を行った理由とは。

 

土本氏

実際に会社のブランディングがどういう状況なのかというのは、それぞれの会社で様々なサーベイを行い、随時見つめ直すことだと思います。我々もまさにそういったことを行っていまして、社員サーベイや外部のパーセプション等を見た時に、従業員エンゲージメントのスコアが実はあまり高くなかったんです。日本の企業と比べたときには決して低いという訳ではなかったのですが、諸外国と比べるとやっぱり低いんですよね。

エンゲージメントというのは従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントの2つで見ると思うのですが、その中でも“従業員エンゲージメント”を改善するためにはどうしたら良いかということを考え、「モビライゼーション」「イノベーション」「フレキシビリティ」という3つのキーワードを取り上げました。

そしてこれらのキーワードを取り上げて従業員の行動を変えていくことで、メンタリティも変えられるのではないかと考えました。それから、パーセプションもより良い方向に持っていけるのではないかと思いましたね。

あとはやはり「インクルージョン&ダイバーシティ」ですね。今では当たり前のように皆さんこの言葉を使っていますが、我々外資系企業から見ると、その本質を理解されている日本の企業というのは意外と少ないように思います。外部に向けてブランディングを行っていくことで、それが延いては外部のパーセプションを改善していくことにも繋がると思いますし、それがフィードバックとして社員にも戻ってきますよね。

そうすることで、「バクスターってこういう風に見てもらえているんだ」という社員にとっての“自信”にも繋がりますし、エンゲージメントを強化していくことにも繋がるということで、物理的なフィジカル面とクオリティの観点も含め、我々としてはブランディング活動の一環として移転を考えました。

虎ノ門という場所については、特段ここでなくてはいけない理由は無かったのですが、我々の仕事はヘルスケアの仕事ですので、医療機関との距離が近い方がやはり便利なんですよね。コミュニケーションもかなり頻繁にありますので。そういう意味では当然毎回のように経費もかかりますから、移動効率等も考えると都心部に近い方が良いというのはずっとありましたね。

ランニングコストとしては晴海トリトン本社の時と比べてそれほど変わらないのですが、環境的には全く違う環境が実現できたので、「モビライゼーション」「イノベーション」「フレキシビリティ」という3つの観点では、今回移転を行ったことで我々が当初期待していた結果というのが今着実に目に見えるようになってきていますね。

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テーマの決定と独自のプロジェクト進行

移転プロジェクトを進行するにあたり、実現したい内容を言葉で表現することはできても、それを実際に形に起こす作業というのは多くの人が関われば関わるほど難しい工程となる。今回同社はその作業を共にするパートナーとして、「ゲンスラー」(デザイン及びワークプレイスコンサルティング)と「ジョーンズ ラング ラサール」(プロジェクトマネジメント)を選んだ。

300人規模の移転プロジェクトを約10ヶ月という短期間で見事に成し遂げたその背景には、テーマ・デザインの決定から実際のプロジェクト進行においてまで、様々なストーリーがあったという。誰か一人でも欠けていたら竣工しなかったであろうこのオフィス。同社は一体どのようなフローで理想のオフィスを完成させたのだろうか。

 

土本氏

まず最初にゲンスラーさんが我々経営陣に向けて「どんなオフィスイメージにしたいですか?」というエグゼクティブインタビューとビジョニングセッションを行ってくださり、その結果として、“アーバンインダストリアル”というテーマが出てきました。具体的にはドイツ系のオフィスのようなものがイメージとしてあったので、このテーマを軸にデザインを考えていきました。実際にこのプロジェクトを進めていくにあたっては、役員間でそれぞれファンクションごとに人選を行い、プロジェクトチームメンバーとして推薦をしました。

 

藤田氏

プロジェクトチームは実は全部で4つあったんです。そのうちの1つが私がいたプロジェクトチームで、そこは実際にデザインや進行管理の外部スタッフの方々と実務を動かしていく部隊でした。それ以外には、“ニューワークスタイル”、“ペーパーレス”、“コミュニケーション”という3つのチームがありました。名前の通り、移転に関する実務というよりかはどちらかというと「どういう風に社員のマインドを新しく変えていくか」というところに注力してもらいました。

例えば、新たにフリーアドレスになるということで、やはり皆さん抵抗があるだろうと早めの段階からアナウンスを行っていたりもしましたね。普通はこういうことは総務部などの決まったメンバーが行うと思うのですが、私がいたチームは総務・購買・ファイナンス・ITのメンバーで構成されており、その他のチームも本当に横断的で、必ずどこかのファンクションが入っているようなメンバー構成になっていました。

なので、どこかの部署だけという偏った感じではなく、「社員全員で作り上げていく」という意識がありましたね。もちろん実際に移転実務を動かしていたのはプロジェクトチームではあるのですが、意見を聞いたり、細かいところを反映させたりするという点においては他のメンバーともコラボレーションをしながらやってきたという感じです。

また、プロジェクト資料を作る前に、実は社員アンケートを行うだけでなく、会議室の使用状況等を詳しく調べるために、実際にゲンスラーさんが一週間くらいずっとオフィスに張り付いて現地調査を行ってくださったんです。

 

土本氏

そうなんですよ。一日の会議室の利用状況を全部確認して、実際にどれくらいの使用率だったのか、それから社員の行動はどうなっているのかというのを全てチェックしてもらいましたね。そしてその結果から、新しいオフィスにはどれくらいのミーティングスペースがどのような形で必要なのかというのを洗い出して、はめ込んでいったという感じですね。会議室のような共有のスペースは論理的に見て行きますから、使われ方などをきちっと分析する一方で、社員のみんなには選択肢を提案しながらも、「どんなオフィスが良い?」とエンプロイー・サーベイを行い、そのフィードバックを回収してレイアウトに当てはめていったりもしました。

 

藤田氏

スケジュール感としては、物件が決まったのが2013年の10月頃で、実際プロジェクトとして実務が始まったのが2014年の1月からなんですね。それで移転をしたのが9月だったので、物凄い短納期でした。私は今総務なのですが、元々は購買にいたということもあり、こういった移転関連のプロジェクトに関わったのは初めてで、“工期”というのが平均的にどれくらいなのかが分からなかったんですね。あとは、予算も実はそんなに潤沢ではなかったらしいのですが、自分たちは潤沢にあったと思い込んでいて(笑)。

なので、常にポジティブにできたのが良かったんだと思います。ゲンスラーさんにもジョーンズ ラング ラサールさんにも「御社のバジェットだと思い描いているグレードにはちょっと難しいかもしれません…」と言われたのですが、「いや、できますよ!」という感じで(笑)。ある意味、何も知らなかったということが良かったんですね。未経験ということがプラスに繋がることもあるんだなと思いました。もし私が何回も移転を経験していたら、多分怖かったと思うんです。でもそれが無かったので、関係者の方々には大変協力してもらい、素晴らしいオフィスを完成させることができました。

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オフィスのこだわりとそこから生まれた産物

今回、虎ノ門ヒルズへの移転に合わせ、晴海トリトンオフィスのリノベーションも同時に行ったという同社。そのデザインは虎ノ門ヒルズオフィスのコンセプトを踏襲した形になっており、空間の使い方や家具類のセレクト等、こだわりのポイントもしっかりと共有されているという。そして、そんな細かいこだわりを随所に反映させた新たなオフィス環境を作り上げたことで、ハード面はもちろんのこと、ソフト面においても「働き方」という観点において大きな意識改革があったようだ。まさに“ニューワークスタイル”と呼ぶに相応しい変化を生んだそのオフィスのこだわりについて伺った。

 

藤田氏

エントランスの受付には凄いこだわりがあります。社員もそうですが、社外の方を迎え入れるという意味では会社の“顔”になるところですし、エレベーターを降りてまず最初に目に付くのがカウンターになるので、一番見てほしいポイントではありますね。なかなかこういうデザインは無いと思いますので。

 

土本氏

あとは、ミーティングルームではなくてミーティングができるようなスペースを社内にたくさん設けたというところですね。どんな色にするのか、どんな形状にするのか、どんなスペース配置にするのか等、かなり工夫をしました。単純なデザインだけでなく、機能面も盛り込んで考えたので、その辺りは相当に気を遣いましたね。実は今まではミーティングルームを予約して、ミーティングルームじゃなくてもできるような話し合いを行っていたんです。

それが今のような形でオープンなスペースをたくさん設けて、声をかければいつでも集まれる場所を作ったことで、見事に解消することができました。やはりイノベーティブな環境というのはコミュニケーションの質も高まりますし、成果物も良くなるので絶対に必要だと思うんですよね。コンフィデンシャルな話でない限り、オープンスペースでコミュニケーションを取った方が絶対に生産性は高いと思います。

また、オフィス内は事前に決めた「モビライゼーション」「イノベーション」「フレキシビリティ」の3つのキーワードに沿った形でデザインされており、その時々によって自由に選択できるようになっています。オープンスペースで固定席が無くフリーアドレスになっているので、そういう意味では皆フレキシブルに仕事をしていますし、毎日座る場所が変わるので、その日のイメージで仕事の仕方も変えることができます。

実はこちらに移転するのと同時に、弊社では更に自由な働き方ができるよう、在宅勤務を週5日まで拡大して許可をするようになりました。と言いますのも、フリーアドレスにすることで、今までの仕事の仕方やバイアスのかかった考え方というのが無くなると思ったんです。社内に居なくても仕事はできるんですよね。今実際に在宅勤務をされている方が多いというのも、やはりこのオフィスに移転をして、皆さんのメンタリティが変わったということが大きいと思います。

ただ、これは“権利”と“義務”を明確にしているだけの話で、私は成果物が出ればそれで良いと思っているんです。それが達成できれば、極端な話、在宅勤務であろうがオフィス勤務であろうが、たいして大きな問題ではないということです。本当に変えなくてはいけないのは社員のメンタリティですし、現在こういう環境になったことで、それが改善・促進できているというのは紛れもない事実ですからね。

 

藤田氏

あとは移転と同時にITツールが非常に使いやすくなりましたね。例えば、会社支給の携帯が移転前の段階で全てiPhoneに変わったり、社内のLANに繋げばどこに居てもWebExで電話会議ができるようになったり、そういったツールが段々と揃っていきました。“ニューワークスタイル”を突然始めた訳ではなくて、会社としては今までずっとそういったことを推進してきて、それを実際に体現できたのが丁度今回の移転時だったという感じです。ペーパーレスがここまで促進できたというのも、やはりこの移転で新しくフリーアドレスになったからだと思います。今までは固定席であったが故に皆さん書類をたくさん抱えてしまいがちでしたが、フリーアドレスになったことでそれも解消され、更に在宅勤務もしやすくなりましたしね。そういう意味では、全て関連していたという感じです。

 

土本氏

プライベートの引っ越しなども一緒ですが、どこに重きを置くかですよね。お金をかければ何でもできますから、どこを自分で“満足”とするかだと思います。我々としては達成したいことがもう早い段階から決まっていたんですよね。それは、家具類をブランド物にしたいというようなことではなく、“空間”や“雰囲気”というものをまず達成したいゴールと定めていたんです。なので、そういうものを中心にチェックをしていって、本当に必要な物のみを達成してったという感じです。全て戦略ですね。

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オフィス環境変革後の変化や反響

移転前の晴海トリトン本社は2フロアに分かれていた上、それぞれのフロアの中心にはオープンスペースの廊下があったため、実際には4つに分断していたことになる。それが今回の移転でワンフロアになったことで、やはり“コミュニケーション”という点において劇的な変化があったというが、同社では移転をしたことでそれ以外にも数々の驚くようなプラスの変化が生まれたという。

表面的な変化だけではなく、より本質的な部分の変化にも繋がったという今回の移転プロジェクト。環境変革により生まれたその大きな“変化”とは。

土本氏

社外からの反響としては、「凄いね、虎ノ門ヒルズに!」というような感じで言われることはよくありますね。ただ、インクルージョン&ダイバーシティに代用されるようなブランディングを外部に向けて今まで一生懸命やってきましたので、それが今回の移転で虎ノ門ヒルズというブランドも併せて活用できているというのは正直あると思います。

また、オフィスのデザイン面はもちろんですが、“働き方”も含めて様々な方に注目していただいているというのは実感としてありますね。なので、総合的に良い意味で露出度が上がっていて、且つ我々が展開するコミュニケーションというものに中身もしっかりと付いてきていますから、結果的に非常に良かったと思っています。

社員の“働き方”の変化で言うと、まずコミュニケーションの仕方においてサイロ・メンタリティが無くなり、誰とでもコミュニケーションを行えるようになったというのが一つ。そして、それによって日々の仕事の中で感じなかった“楽しさ”を感じられるようになったということがもう一つの変化として挙げられると思います。

以前のように「またあのスペースに行って仕事をするのか…。」というようなことが無くなりましたね。また、フリーアドレスになったことで一人一人の荷物が大幅に減り、紙ベースではなくて基本的にデジタル媒体のみで仕事ができるようになりました。これにより、印刷コストも相当に減りましたね。

 

藤田氏

今回フリーアドレスになったことで毎日違う席で仕事をするようになったので、隣の人の名前を知らなくても話をするようになりましたし、カフェスペースができたことでそこで行われるイベントを通していろんな部署の人と話ができるようにもなりました。そういう意味では以前に比べて会話が生まれる機会がかなり増えたので、社員同士の距離も少し縮まったように思います。

元々フリーアドレスに大反対だった方からは「同じ部署で固まっていないのは効率的ではない」という意見があったのですが、実際にこのオフィスに来てみると、その方からは「いいね!」という言葉を聞けるようにもなりました。今のオフィスはデザイン的にもオシャレですし、明るくて景色も良いですし、出社すると気持ちが上がるという声はよく聞きますね。

先程もお伝えした通り、弊社では在宅勤務も週5日許可しているのですが、オフィスの居心地があまりにも良いので、家で仕事をするより出社した方が良いという方も実は多いようです(笑)。そこがまさに“ダイバーシティ”と言えますよね。

私達は「絶対に在宅勤務をしなくてはいけません」と言っている訳ではなく、かと言って「絶対にオフィスに出社しなさい」と言っている訳でもなくて、「その時々の状況に応じて働き方を選んでください」というスタンスを推奨していますので。

ただ、一社員からしてみると、このダイバーシティ&インクルージョンという取り組みは移転前からやっていたはずで、新しい働き方というのももっと前から耳にしていたはずだったのですが、晴海トリトンオフィスにいた時には実際に取り組んでいる感覚というのがほとんどなかったんです。

でも、このオフィスに移転をしてきて初めて、「私たちの会社はインクルージョン&ダイバーシティを推進していて、実際にそれに取り組める環境にいるんだな」というのが実感として湧いたんですね。それは私だけではなくて、きっと他の社員の方々も同じように感じたことだと思うんです。

 

土本氏

以前のオフィスでも、そういうレイアウトなりコンセプトを作っていたら、もしかしたらうまくできていたのかもしれませんね。ただ、今回の虎ノ門オフィスへの移転が一つの“トリガー”で、こういった環境を狙って作り上げたことで、元々あったルールやシステムが本当に機能し始めたということだと思います。

 

藤田氏

また、以前は部署単位で分かれて座っていたので、こちらに移転をしてフリーアドレスで働いてみて初めて、「移転前は空気が動いていなかったんだな」ということに気が付きました。移転前は自分の固定席の周りがテリトリーという感じだったので、あまり皆さん動いていなかったと思います。なので、引っ越しをした時には皆さん「よく歩くようになりました」と仰っていましたね。中には「結構疲れます…」という意見もありました(笑)。

あとは、フリーアドレスになったことで土本さんをはじめ、今まで個室に入られていた役員クラスの方々が人を探しにオフィス内を歩き回っているところをよく見かけるようになったので、ご挨拶ができる機会も増えましたし、社員としては凄く距離が近くなったような気がしています。

 

土本氏

それと、会社の福利厚生とは別に新たにプログラムを展開して、カフェスペースを使ってランチ会やスイーツビュッフェなどのイベントを行ったりもしています。時間のコントロールがうまくできていればこういう楽しい取り組みは良いと思うんです。社員の皆さんにとってはある種“Fun”が醸成できているので、そうなるとやっぱり仕事をしていても楽しいじゃないですか。

何もなくて悶々としている環境と、メリハリがある環境とどちらで働きたいかと考えた時に、私はやはり今のようなやり方の方が社員にとっても良いことだと思いますし、それは結果的に会社にとっても良いことに繋がりますしね。お金をかけて何かを行うというのではなくて、そういう小さな工夫一つがフレキシブルにできるというのが今の環境の良いところだと思いますね。

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今後取り組みたいオフィス環境づくり

1931年にアメリカで創業したバクスターが日本で事業を開始して46年。長年に渡り製品の開発や普及に全力で取り組んできた同社は、今や世界の医療において、そして世界中の病に苦しむ人々の支えとして欠かせない存在となっており、一人でも多くの大切な生命を守るために今日も弛まぬ努力を以て研究開発を加速させている。

今回の移転で新たな医療の歴史を創り上げていくに相応しいオフィス環境を手に入れた同社は、「患者さんの生命を守る」という使命のもと、今後も医療技術の革新をもたらすリーディングカンパニーとして常に挑戦を続けていくだろう。

 

土本氏

具体的な展望というのはまだないのですが、多分もう一度リフレクションしなくてはいけないなと思います。何が変化して、何がもっとできるんだろうかということを改めて見てみるフェーズが必要だと思っています。それから、変わらず継続、あるいは拡大していかなくてはいけないのは、“Funの醸成”ですね。せっかく全体の25%の占有率を持つこのオープンスペースがありますから、それをどういう形で活かしていくかというのは明確なアクションプランだと思います。

あとは、ミーティングルームやオープンスペースを作りましたが、本当に当初狙ったような使われ方がされているのかどうかという点やそれによって成果が出ているのかどうかというのも見なくてはいけないなというのが具体的な次のステップだと思っています。

その結果によっては、必要であればもしかするとレイアウトの変更や色味の変更なんかもあり得ますしね。とりあえずは表面上の変化なり、質的な変化なりはモニターできていますが、まだそこまできちんと確認できていませんので、それを定量的に測定していくというのがこれからの課題ですね。

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Pick Up  “ここが、バクスターらしさ“

■健康増進支援キャンペーン「BeWell」
「ワークライフバランス」がうまく取れていると、創造性や革新性、生産性において最大限の能力を発揮できるということで、同社では従業員の「ワークライフバランス」を向上させるべく、様々な制度を導入している。その中の一つが健康増進支援キャンペーン「BeWell」である。同社はグローバルヘルスケア企業として従業員とその家族の健康増進を重視・支援しており、長期的な取り組みとして「BeWell」というグローバル・エクササイズ・キャンペーンを行っている。

今年の5月に行われたというそのプログラム内容は、虎ノ門オフィスから愛宕神社まで皆で歩いてお参りをした後、そこから更に東京タワーまで歩き、オフィスに戻って来るというウォーキングイベントだったのだとか。移転前から有志のメンバーで継続して行われているというこのキャンペーンは、“健康的で生産性の高い労働力が企業としての目標達成に不可欠である”と考えている同社にとって、今や定番になっている取り組みの一つである。

■イクボスキャンペーン
最近よく耳にする「イクボス」。この「イクボス」とは、一般的には職場で共に働く部下やスタッフの育児・介護活動に理解があり、仕事と私生活を両立しやすい環境の整備に努める経営者や上司などの総称となっているが、同社では育児や介護のみに限らず、より多面的に社員全員の多様な働き方を尊重しましょうというスタンスで「イクボスキャンペーン」というものを行っている。

社員のいろいろなライフスタイルに応じて、“人を育てる”という広義な解釈のもとで行われている同社の「イクボスキャンペーン」では、経営者やリーダークラスの方々に「イクボスカード」なるものが配られ、社員のワークライフバランスを考えつつ、自らも仕事と私生活のライフスタイルを充実させている上司には社員からシールが贈られる仕組みになっている。

この「イクボスカード」には全部で12のチェックリストがあり、その中には“育児・介護等の課題を抱えているため残業が難しい部下についても、パフォーマンスで公平に評価している”、“部下のライフステージに合わせた中長期のキャリアプランを共に考え、コーチングなどの支援をしている”等、社員がいつどんな状況に置かれようとも、お互いに支え合い、協力し合うという同社の仕事に対する姿勢が表れている。

この「イクボスキャンペーン」は2014年から実践されており、同社が掲げるインクルージョン&ダイバーシティの推進においても今や非常に重要な役割を担う活動の一つとなっている。

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Creator’s Eye  ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド

今回の移転プロジェクトは、ジェラルド・リマ前社長(現:会長)の「革新的な働き方を実現する」という一貫した思いのもとで進められました。機能面では、社員の皆様が積極的に部門の枠を超えてコミュニケーションを取れるよう、完全フリーアドレスを導入し、コラボレーションスペースを充実させるといったクリアな目標が掲げられました。また、デザイン面においては、従来の製薬会社に見られる青と白で統一するようなデザインに囚われることなく、バクスターらしいチャレンジ精神を反映したいというご意見に加え、クリエイティブでユニークなオフィス空間にしたいというご要望を受けました。

これらのご要望に対し、まずはビルの曲線的な形状を踏まえ、フロアを一周できる動線(“Activation Circuit”)を設け、エントランス、レセプション、カフェテリア、会議室、執務エリアを繋ぐ1本の大動脈をレイアウトの基礎としました。この動線に沿って、様々なコラボレーションスペースを設置することにより、行き交う人々が自然と出会い、コミュニケーションが生まれるような、スピード感と活気のある環境づくりを目指しました。

また、完全フリーアドレスの実現に向けて最適なワークデスク数やコラボ席数をご提案するために、オフィスコンサルティング業務の一貫として、5日間オフィスに張り込み、デスクや会議室の利用状況を調査しました。調査データをもとにバクスター様と議論を進めたことで、設計プロセスの共有化に繋がり、より効率性とデザイン性のバランスの取れた環境を生み出すことができたと考えております。

ただ、今回の移転でワークステーションが固定席からフリーアドレスに変わることなど、大きな働き方と環境の変化があったので、これについては皆様に納得していただけるように、なるべく丁寧にご説明を重ねながら設計プロセスを進めていきました。

家具類については、ブラックやグレーを基調とした大人の雰囲気に、ぱっと映える鮮やかな色を指し色として添えるような空間イメージをバクスター様と共有した後に選定を行いました。特にクライアントも通せるカフェテリアはデザインへのこだわりが強かったため、オフィス家具だけでなく、カフェ家具や古材家具なども含めて幅広く検討したり、既製のプロダクトの生地だけ張り替えてもらうよう、業者に粘り強く交渉したり、造作家具等イメージしているカラースキームを補う工夫もしました。

移転前はフリーアドレスの実施など、働き方の変化に戸惑いを感じていた方もいらっしゃいましたが、現在では立地、活気のあるカフェテリア、充実したコラボレーションスペースを含め、皆様新しい環境に総合的に大変満足されており、喜んでいただけているようです。

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